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新『仲裁法』施行に伴う企業の留意事項 -NEW-

   2025年9月12日に第14期全国人民代表大会常務委員会第17回会議において可決された『中華人民共和国仲裁法』(以下、「新『仲裁法』」という。)が、2026年3月1日より施行されています。
   新『仲裁法』は、従来の『仲裁法』の施行から30年を経て行われた初の大幅改正であり、企業の紛争解決に関する仲裁ルールが大きく変化しています。そこで今回は、新『仲裁法』の重要なポイントをピックアップして解説いたします。

1. 仲裁判断の取消申立て期限が3ヶ月に短縮
   中国の裁判所における「二審終局」制度に比べ、仲裁の「一裁終局」制度は、当事者にとって紛争解決効率が高く、時間の節約にもなります。これは、企業がビジネス紛争の解決手段として「仲裁」を選択する上で考慮すべき重要な要素の一つです。
   しかし、仲裁が「一裁終局」制度を採用しているとはいえ、もし仲裁手続上に違法や証拠捏造など特定の事情が存在する場合は、法的救済手段として企業に仲裁判断の取消申立てを行う権利が与えられています。仲裁判断の取消申立て期限は、旧『仲裁法』では6ヶ月でしたが、長期間に渡り判断が未決状態となることを防ぐため、新『仲裁法』では3ヶ月に短縮されています。(新『仲裁法』第72条)
   3ヶ月以内にこの取消権を行使しなかった場合は当該救済手段を手放すことになり、その結果、仲裁判断を覆すことは不可能になるという点にも注意を払う必要があります。

2. 新設された「臨時仲裁」制度の活用
   従来、中国では仲裁機関による仲裁のみが認められていましたが、新『仲裁法』では、国際海事紛争、若しくは自由貿易試験区や海南自由貿易港およびその他規定区域内に設立された企業間で生じた国際紛争案件において、仲裁機関を経由することなく、当事者双方が選んだ仲裁員から成る仲裁廷で「臨時仲裁」を行うことが可能となりました。
   この「臨時仲裁」制度は国際ルールと整合しており、国際慣行に精通した外資系企業は、より信頼できる手続規則を採用することで、意思自治において一層大きな余地を持つことができます。ただし、臨時仲裁の条項は専門性が高く、条項の約定に不備がある(例えば仲裁員の選定方法が定められていないなど)場合は、紛争解決が滞る可能性があるという点に留意する必要があります。

◆日系企業へのアドバイス
   商事仲裁には総合的かつ専門的な紛争解決メカニズムが必要なため、日々の取引において万全なルールを事前に設定しておくことは、紛争解決で優位に立つために不可欠です。仲裁規則や実務上の運用ノウハウを十分理解しないまま仲裁を迎えた場合は、かえって企業を不利な立場に追い込む可能性があります。

作成日:2026年03月26日