速報:9月1日から上海で「プラスチック製品禁止令」が施行
2025年9月1日より、7月末に上海市第16期人民代表大会常務委員会で可決された『生態文明建設を深化させ、美しい中国の上海モデルを構築することに関する決定』(以下「本決定」という。)が正式に施行されました。
本決定は、上海市における生態文明の構築に向けた重要な政策文書であり、第8条には「グリーンかつ低炭素な製品の普及とグリーン消費の促進に努め、使い捨てプラスチック製品の使用を法に基づき禁止・制限し、リサイクル可能でリサイクルしやすく、分解可能な代替製品の使用を推進する。」と明記されています。
今回の「プラスチック製品禁止令(以下「禁塑令」という。)は、本規定に基づく上海での新たな政策になりますので、概要を簡潔にご紹介いたします。
(1)「禁塑令」の重点規制対象
今回の禁塑令では、以下のような使い捨てプラスチック製品の使用が重点的に規制されます。
・レジ袋
・使い捨て食器(フォーク、スプーン、弁当容器、ストローなど)
・ホテルや商業施設、スーパーなどで使用される使い捨てプラスチック用品
・フードデリバリー業界で使用されるプラスチック包装材など
特にPEコーティングやPLAコーティングなど、回収が困難で環境汚染につながる素材を使用した使い捨て容器については、飲食業やフードデリバリー業、販売業などの分野で重点的に制限される見込みです。
(2)行政の監督および処罰の強化
第9条には、「生態環境保護に関する行政執行を厳格に行い、部門間、地域間、流域間での監督執行の連携を強化し、行政執行と刑事司法との連携も推進する」と定められています。
このことから、今後、各地域の生態環境保護部門や市場監督管理局などが情報を共有し、複数部門または地域にまたがる監督や取締りが強化され、重大な違反に対しては刑事責任を問われる可能性もあります。
「上海市環境保護条例」第32条および「固体廃棄物環境汚染防止法」第106条に基づくと、「禁塑令」に違反した企業には最高10万元、個人事業者には最大5000元の罰金が科される可能性があります。違反が繰り返された場合には、違反行為が公共信用情報プラットフォームに登録され、営業停止が命じられる可能性もあります。
◆日系企業へのアドバイス
本決定の施行により、飲食業や商業施設、スーパーマーケット、および使い捨てプラスチック製品に関わる企業にはより厳格なコンプライアンス対応が求められるようになります。一方で、生分解性材料製品の製造企業や環境配慮型包装の生産企業にとっては、大きなビジネスチャンスとも言えます。
また、上海市での「禁塑令」施行を皮切りに、今後中国の他地域でも同様の政策が段階的に導入される可能性がありますので、関連分野に携わる日系企業にも当局の監督管理への対応や、食品包装・飲食容器などのサプライチェーンの見直しや再構築の必要性が生じることが予想されます。
そのため、リスクを回避しつつ競争力を高めるためには、積極的に以下のような対応を進める必要があるでしょう。
・法規制に準じた制度の整備
・環境配慮型製品への転換とサプライチェーンの見直し
・グリーン、低炭素、環境配慮型の経営戦略の策定
・環境コンプライアンス管理制度の整備および運用の強化
作成日:2025年09月04日