最新法律動向

最新:『会社法』が再改正される見込み

   2020年1月1日からの『外商投資法』施行開始とともに、それまで有効であった『中外合弁経営企業法』、『中外合作経営企業法』、『外資企業法』からなる「外資三法」は廃止され、中国における外資系企業の会社運営において、国内資本企業と同じく『会社法』が適用されるようになりました。以来、『会社法』は在中日系企業の運営上最も重要な法律の基礎となってきました。
   1993年に公布されてから5度の改正を経てきた『会社法』ですが、今年12月24日に全人代常務委員会で『会社法(改訂草案)』(以下「改訂草案」という)についての審議が行われ、「改訂草案」は同日発表されてパブリックコメントを開始し、期限は2022年1月22日までとなっています。
   現行の『会社法』に対し、「改訂草案」では約70項の実質的な改訂・新設の内容を打ち出しており、在中日系企業の会社運営や管理に重要な影響をもたらすものとなるため、今回新設される内容について以下でご紹介いたします。

1.会社株主の権利・義務に対する調整
   「改訂草案」第51条では、会社の財務資料に対する株主の知る権利の範囲を拡大し、従前の会計帳簿に会計証憑が加えられました。コロナ禍で中国現地企業に出向くことのできない高級管理職は、本社から現地の弁護士や会計士に委託することにより、会社の会計帳簿や会計証憑を閲覧、複製することが可能となります。
   「改訂草案」第46条では、期限までに出資金を払い込んでおらず、会社から催促されてもなお払い込まない株主は、未納の出資金に相応する分の株主権を喪失するという規定を新たに設けています。各日系企業の会社定款中に出資の払込期限を設定する際、適度に期限を延長しておくことで、払込みが間に合わずに株主権を喪失する事態を回避することができます。
2.董事、監事、高級管理職等の組織枠組みに対する調整
   「改訂草案」第63条では、従業員数が300名を超える会社には「従業員董事」を置くという新規定を設けています。また第64条では、董事会に監査委員会を設置する会社では、監事会や監事を置かなくてもよいとしています。

作成日:2022年01月07日