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8ヶ月代替勤務していて死亡した場合 労働災害として認定すべきか

本日、江蘇省徐州市中級人民法院は、労働関係確認訴訟に二審判決を下した。これにおいて捷仕不動産管理会社と林氏の間には、事実上の労働関係が形成されていたことが認定され、法に基づき捷仕不動産管理会社からの上訴請求を却下し、一審の判決を維持した。

陳氏は捷仕不動産管理会社の従業員で、具体的な業務は道路の清掃だった。双方は3年間の固定期間のある労働契約を締結した。陳氏は10ヶ月勤務した後、家庭の事情のため、勤務しなくなった。その後、夫である林氏が替わりに道路清掃の業務を引き継いでいた。林氏が陳氏の替わりに勤務した期間は8ヶ月の長さに及んだが、その後道路清掃の過程で交通事故のため死亡した。交通事故責任認定の結果、林氏は無過失、相手側の全過失と認定された。林氏は勤務の際、毎日捷仕不動産管理会社の監督と業務量検査を受けていたが、賃金の支給は依然として陳氏名義で陳氏の賃金カードにされており、捷仕不動産管理会社は陳氏のために社会保険料の納付手続を行っていなかった。

林氏の家族は林氏が労働災害であること認定し、労働災害保険待遇を受けることを要求したが、捷仕不動産管理会社は林氏が替わりの出勤であり、双方の間には労働関係がないとして、自己の結果は本人が自ら負うべきであるとした。

徐州市賈汪区人民法院は、一審で次の通り認定した。林氏は、捷仕不動産管理会社による日常の巡回と管理を受け、会社が手配する道路清掃業務に従事していた。林氏が従事する道路清掃の業務は、捷仕不動産管理会社の主な業務内容であり、双方は労働関係を確認しうる条件に合致していた。捷仕不動産管理会社が支給した賃金が陳氏の賃金カードに振り込まれていた問題について、陳氏は捷仕不動産管理会社へ労働を提供していないため、労働報酬はなく、当該賃金の実際の労働者、即ち林氏の労働報酬である。林氏と陳氏は夫婦であり、陳氏の賃金カードを用いて林氏に賃金が支給されていたことは情理のうちである。捷仕不動産管理会社が提供した労働契約の問題について、陳氏は捷仕不動産管理会社のために労働を提供していなかったものの、捷仕不動産管理会社は半年以上の長きにわたり双方の労働関係解除を提起していなかったため、双方の労働関係は中止の状態にあったと認定できる。当該労働関係の未解除は、捷仕不動産管理会社と林氏の間の事実上の労働関係を否定できるものではない。このため裁判所は、捷仕不動産管理会社と林氏が事実上の労働関係を形成していたとの判決を下した。

■裁判官の見解■

 長期間の代替勤務は、使用者が黙認していたと見なされる。

当該事件の担当裁判官は、本事件の双方が労働関係を形成しているかは、3つの点から考慮すべきであると考えている。第1は、代替勤務時間の長短である。第2は、会社が代替の事実を確かに知っていたかどうかである。第3は、代替された労働者の労働法上の保障が実現されているかどうかである。

当該事件において、林氏の代替勤務は8ヶ月間の長きに渡っていた。なお且つ当該期間中、毎日林氏が出勤していた。林氏は会社の規則制度の拘束を受け、時間通り出退勤し、任務を完了しており、労働者は林氏であって、陳氏ではない。代替勤務は短期で、臨時であるべきであり、当該事件では実際の労働者である林氏は労働関係の一方と認定されるべきである。会社では毎日当直の班長が勤務巡回を行っており、長期間に渡り林氏が任務を完了していたことを確かに知っていたにもかかわらず、如何なる措置も取らず、林氏の行為を黙認していたため、双方が事実上の労働関係を形成していたことが実情に合致していると認定でき、不公平な状況は存在していない。

このほか、会社は陳氏のために社会保険を納付しておらず、陳氏は会社において労働法上の特殊保障を受けていなかったため、労働関係を中止することも、事実上の労働関係を形成することにも法律上の障害は存在していなかった。

(人民法院報より)

作成日:2015年07月29日