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商業秘密関連事例:機密漏洩によるシャオミ幹部の解雇 -NEW-

   9月8日、シャオミグループから「機密情報の漏洩」および「利益相反などの重大な規律違反行為」を理由に中国地区市場部総経理兼REDMI総経理の王騰氏を解雇する通知が出されたことが、世間の注目を集めました。
   本件は王騰氏のキャリアへの影響だけでなく、シャオミグループがコンプライアンス管理を強化する姿勢を示しており、その他企業にとっても秘密保持業務の堅実な履行や情報漏洩の回避に対する重要な警告意義を有しています。そこで今回は、秘密保持やコンプライアンスに準じた対応についての要点を解説いたします。

(1)有効かつ実施可能な規則制度の確立
   多くの企業が従業員の規律違反に対して内部規則制度を活用しているように、今回の王騰氏に対する対応もシャオミグループ内部の『従業員規律違反行為処理弁法』および信義誠実の規則などに基づいて行われています。
   但し、労働者の重大な権益に関わる規則制度の制定または改訂には、『労働契約法』第4条の規定に基づき、労働組合や従業員代表との協議を経るなど民主的な手続きを履行することと、従業員への公示・告知(従業員研修や署名など)が求められていることに注意が必要です。
   仲裁機関や裁判所が企業による従業員の処分を審理する際は、規則制度の合法性や合理性、客観性、実行可能性を重視する傾向にあります。

(2)商業秘密に対する秘密保持措置
   企業にとって商業秘密は外部との競争におけるコアコンピタンスに属します。商業秘密の特性の一つである秘密保持に対し、企業はアクセス権限やパスワードの設定、物理的隔離(専用のストレージや保管室での保管など)といった方法により、秘密保持措置を講じる必要があります。
   また、「情報アクセス権限等級制度」を採用し、会社独自の配合や販売計画、原材料調達コスト、サプライヤーなどの商業秘密については、そのすべてにアクセスできる従業員を制限することが推奨されています。同時に、従業員に対しては入社時に秘密保持承諾書に署名を求め、秘密保持義務と法的責任を明確にすることも必要です。

(3)定期的な研修の実施
   勤続年数が長くなり会社情報へのアクセスが増えると、秘密保持に対して「怠慢」や「気の緩み」が生じることがあります。そのため、従業員に対し定期的に利益相反の申告や秘密保持に関する研修を行い、秘密保持とコンプライアンスに対する意識を高めることは、秘密漏洩リスクの回避や軽減に役立つ可能性があります。

◆ 日系企業へのアドバイス
   秘密情報は企業競争力の核心といえます。情報化レベルの向上やデータ流動が利便化する中、「秘密保持と権利保護」は企業が普遍的に直面する問題となっています。そのため、定期的に情報管理の内部審査を行い、秘密保持の惰弱性を見極めることは、機密漏洩事件の予防にとって非常に重要です。万が一、機密漏洩事件が発生した場合は、いち早く証拠を収集し、弁護士の支援を得てコンプライアンスに準じた合法的な対応を取る必要があるでしょう。

作成日:2025年09月10日