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外資系企業に関する行政法規の改正と廃止

   今年4月7日、李克強国務院総理が『一部の行政法規の修正及び廃止に関する国務院の決定』(国務院令第752号、以下『決定』という)に署名してこれを公布し、5月1日から施行されています。
   行政法規の効力は法律の次に強く、全国範囲で適用されます。『決定』では、「証照分離」改革に関わるものや、『民法典』の規定に合致しない行政法規を整理し、14件の行政法規のうち一部の条項に対する修正と、6件の行政法規の廃止が決定されました。これらは日系企業の中国投資とも密接に関わるため、日系企業でも十分注目すべきものとなります。今回はそのポイントをご説明いたします。

◆ 主なポイント
(1)外国投資者が投資する一部電信業務について出資比例、投資条件の制限を緩和
   『決定』では、『外商投資電信企業管理規定』に対する大幅な修正を行い、「外商投資電信企業」について改めて定義し、外国側の主要投資者に対する電信業務の業績、経験等の要求を削除し、中国投資部分の電信業務における外国側投資者の出資比率や投資条件の制限が減らされました。例えば、国が別段の規定を設ける場合には、外商投資電信企業における外国側投資者の出資比率は49%、50%の制限を超えてもよいとしています。(付属書1第1条第2項、第3項、第4項)
(2)輸出入商品の検疫検査鑑定機関が業務範囲を超えて検疫検査を行った場合の法的責任を縮減
   『決定』では、『輸出入商品検査検疫法実施条例』の一部を改訂したほか、輸出入商品の検査検疫鑑定業務に従事する検査検疫機関が規定に違反し重大な事態をもたらした場合の情状と法的責任についての規定が削除され、処罰の範囲が縮減されました。例えば、輸出入商品の検疫検査鑑定機関が業務範囲を超えて検疫検査を行っても、過料等の行政罰を受けない可能性があります。(付属書1第3条第1項)
(3)6件の行政法規を廃止
   『決定』により、『汎用航空管理に関する国務院の暫定施行規定』、『工業製品品質責任条例』等の行政法規が6件廃止されることとなりました。(付属書2)

◆日系企業へのアドバイス
   『決定』が公布、実施されると、企業の日常生産経営の過程で根拠となる一部の行政法規に変化が生じることとなります。日系企業において、外商投資の電信業務、医療、交通運輸、税関、輸出入商品の検疫検査鑑定等の分野に関する法規の改訂条項や廃止された法規について速やかに把握し、新たに施行される行政法規の要求に合わせてコンプライアンス経営を行うようお勧めします。業種によっては法規が多く複雑な場合もありますので、必要な方には弊所から関連分野の重点法規をご参考用に提供させていただきます。

作成日:2022年06月01日