重点法規解説

外資企業も都市維持・保護建設税及び教育費付加の納付が必要に

来たる2010年12月1日より、日系企業を含む外商投資企業、外国企業(以下「外資企業」という。)及び外国籍個人に対して都市維持・保護建設税及び教育費付加の納付を免除する優遇措置は撤廃され、中国国内資本企業及び個人と同等の納税義務を負うことが国務院により決定された。これにより、増値税、消費税、営業税を納付することが必要な事業主は、上述の税金・費用を納付する際に、併せて都市維持・保護建設税及び教育費付加も納付することが必要となる。

一、国務院による新通知の概要
2010年10月18日、国務院は、『国内資本企業・外資企業及び個人の都市維持・保護建設税及び教育費付加制度を統一することに関する通知』(国発[2010]35号)(以下「当該通知」という。)を公布した。当該通知は、2010年12月1日より、外国企業及び外国籍個人から都市維持・保護建設税及び教育費付加を徴収し、国内資本企業と外資企業の間で制度の統一を図る旨を規定している。同時に、国家税務総局が1994年2月25日に公布した『外商投資企業及び外国企業より都市維持・保護建設税及び教育費付加を暫定的に徴収しないことに関する通知』は廃止される。
また、2010年12月1日より、外国企業及び外国籍個人にも、国務院が1985年に公布した『中華人民共和国都市維持・保護建設税暫定条例』及び1986年に公布した『教育費付加徴収に関する暫定規定』が適用される。さらに、1985年以降、国務院及び国務院財税管轄部門が公布した都市維持・保護建設税及び教育費付加に関する法規、規則、政策も今後は外国企業及び外国籍個人にも適用される。

二、通知が公布された背景及び外資企業に対する影響
1. 公布の背景
都市と農村にて維持・保護建設資金を調達し、地方の教育費の財源を拡大するため、国務院は、1985年及び1986年に、それぞれ『中華人民共和国都市維持・保護建設税暫定条例』及び『教育費付加徴収に関する暫定施行規定』を公布した。それ以降、都市維持・保護建設税及び教育費付加が徴収されて20年以上になるが、これらは中国公民及び中国国内資本企業のみを対象としていた。つまり、今まで外資企業と外国籍個人に対する税収制度は、中国公民及び中国国内資本企業に対するそれとは異なっていた。1994年以来、中国では国内資本企業と外資企業の税収制度は少しずつ統一されており、増値税、消費税、営業税、企業所得税、都市・農村土地使用税、車船税、耕地占用税及び不動産税等、過去に国内資本企業と外資企業で異なっていた制度は、今では既に統一されている。目下、都市維持・保護建設税及び教育費付加のみが外資企業及び外国籍個人と中国公民及び中国国内資本企業との間で異なっているが、今回当該通知が公布されたことにより、統一が全面的に実現することになる。
中国政府によれば、各企業に同様の税収政策を実施することは、税金・費用を公平に負担し、公平な競争を促進するために不可欠であるという。中国において経済社会の発展及び市場経済体制は益々整備されており、国内資本企業・外資企業の都市維持・保護建設税及び教育費付加制度を統一する機は熟している。2009年度以降は、特に、国際金融危機の影響に対処し、「成長を維持する」という目的を実現するため、中国では積極的財政政策を実施し、企業の負担を軽減し、経済力を強化してきた。現在、中国経済は活気を取り戻し、国内資本企業・外資企業の都市維持・保護建設税及び教育費付加制度をスムーズに統一するに有利な条件は揃っているとのことである。
2. 外資企業に対する影響
当該通知の公布により、外資企業の税負担は相対的に増加することとなる。但し、この2種類の税金・費用の税率は相対的に低いため、外資企業の税金・費用負担に対する影響は、それほど大きくないと思われる。今後、外資企業は、増値税、消費税、営業税を納付する際に、関連する税法の規定に基づいて、併せて都市維持・保護建設税及び教育費付加も納付しなければならない。

三、外資企業の今後の対応及び関連する罰則
1. 対応
都市維持・保護建設税及び教育費付加は、いずれも実際に納付した増値税、消費税、営業税の税額を徴収の根拠(即ち納付額×税率)とするため、今後外資企業を実際に経営する過程において、増値税、消費税、営業税が発生した場合には、それらを納付する際に、都市維持・保護建設税及び教育費付加も併せて納付することが必要となる。
都市維持・保護建設税及び教育費付加に適用される税率は、それぞれ以下のとおり。
都市維持・保護建設税:
(1)納税者の所在地が市内の場合、税率は7%。
(2)納税者の所在地が県(鎮)の場合、税率は5%。
(3)納税者の所在地が(1)、(2)以外の場合、税率は1%。
教育費付加:
3%の比率により徴収される。
2. 罰則について
上述の納税基準に基づき、外資企業及び外国籍個人が納税条件を具備している場合には、所定の期限までに都市維持・保護建設税及び教育費付加を全額納付しなければならない。これにしたがわない場合には、『租税徴収管理法』の規定に基づき、強制執行がなされ、未納額または不足額の追徴のほかに、未納額または不足額の50%以上5倍以下の罰金が科されることもある。その中でも、情状が重く、刑法に抵触する場合には、法により刑罰に処されるという。

四、まとめ
今回公布された通知により、中国国内の国内資本企業・外資企業に係わる税収制度は統一されることとなった。当該通知は、外資企業及び外国籍個人に一定程度影響を与えるものの、その影響は著しいというほどではないと思われる。弊所は、関連する法規の最新動向に常に注目し、今後も皆様の参考に提供させていただく所存である。

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来たる2010121日 より、日系企業を含む外商投資企業、外国企業(以下「外資企業」という。)及び外国籍個人に対して都市維持・保護建設税及び教育費付加の納付を免除する優 遇措置は撤廃され、中国国内資本企業及び個人と同等の納税義務を負うことが国務院により決定された。これにより、増値税、消費税、営業税を納付することが 必要な事業主は、上述の税金・費用を納付する際に、併せて都市維持・保護建設税及び教育費付加も納付することが必要となる。

一、国務院による新通知の概要

20101018日、国務院は、『国内資本企業・外資企業及び個人の都市維持・保護建設税及び教育費付加制度を統一することに関する通知』(国発[2010]35号)(以下「当該通知」という。)を公布した。当該通知は、2010121日より、外国企業及び外国籍個人から都市維持・保護建設税及び教育費付加を徴収し、国内資本企業と外資企業の間で制度の統一を図る旨を規定している。同時に、国家税務総局が1994225日に公布した『外商投資企業及び外国企業より都市維持・保護建設税及び教育費付加を暫定的に徴収しないことに関する通知』は廃止される。

また、2010121日より、外国企業及び外国籍個人にも、国務院が1985年に公布した『中華人民共和国都市維持・保護建設税暫定条例』及び1986年に公布した『教育費付加徴収に関する暫定規定』が適用される。さらに、1985年以降、国務院及び国務院財税管轄部門が公布した都市維持・保護建設税及び教育費付加に関する法規、規則、政策も今後は外国企業及び外国籍個人にも適用される。

二、通知が公布された背景及び外資企業に対する影響

1. 公布の背景

都市と農村にて維持・保護建設資金を調達し、地方の教育費の財源を拡大するため、国務院は、1985年及び1986年に、それぞれ『中華人民共和国都市維持・保護建設税暫定条例』及び『教育費付加徴収に関する暫定施行規定』を公布した。それ以降、都市維持・保護建設税及び教育費付加が徴収されて20年以上になるが、これらは中国公民及び中国国内資本企業のみを対象としていた。つまり、今まで外資企業と外国籍個人に対する税収制度は、中国公民及び中国国内資本企業に対するそれとは異なっていた。1994年 以来、中国では国内資本企業と外資企業の税収制度は少しずつ統一されており、増値税、消費税、営業税、企業所得税、都市・農村土地使用税、車船税、耕地占 用税及び不動産税等、過去に国内資本企業と外資企業で異なっていた制度は、今では既に統一されている。目下、都市維持・保護建設税及び教育費付加のみが外 資企業及び外国籍個人と中国公民及び中国国内資本企業との間で異なっているが、今回当該通知が公布されたことにより、統一が全面的に実現することになる。

中国政府によれば、各企業に同様の税収政策を実施することは、税金・費用を公平に負担し、公平な競争を促進するために不可欠であるという。中国において経 済社会の発展及び市場経済体制は益々整備されており、国内資本企業・外資企業の都市維持・保護建設税及び教育費付加制度を統一する機はしている。2009年 度以降は、特に、国際金融危機の影響に対処し、「成長を維持する」という目的を実現するため、中国では積極的財政政策を実施し、企業の負担を軽減し、経済 力を強化してきた。現在、中国経済は活気を取り戻し、国内資本企業・外資企業の都市維持・保護建設税及び教育費付加制度をスムーズに統一するに有利な条件 は揃っているとのことである。

2. 外資企業に対する影響

当該通知の公布により、外資企業の税負担は相対的に増加することとなる。但し、この2種 類の税金・費用の税率は相対的に低いため、外資企業の税金・費用負担に対する影響は、それほど大きくないと思われる。今後、外資企業は、増値税、消費税、 営業税を納付する際に、関連する税法の規定に基づいて、併せて都市維持・保護建設税及び教育費付加も納付しなければならない。

三、外資企業の今後の対応及び関連する罰則

1. 対応

都 市維持・保護建設税及び教育費付加は、いずれも実際に納付した増値税、消費税、営業税の税額を徴収の根拠(即ち納付額×税率)とするため、今後外資企業を 実際に経営する過程において、増値税、消費税、営業税が発生した場合には、それらを納付する際に、都市維持・保護建設税及び教育費付加も併せて納付するこ とが必要となる。

都市維持・保護建設税及び教育費付加に適用される税率は、それぞれ以下のとおり。

都市維持・保護建設税:

1)納税者の所在地が市内の場合、税率は7%。

2)納税者の所在地が県(鎮)の場合、税率は5%。

3)納税者の所在地が(1)、(2)以外の場合、税率は1%。

教育費付加:

3%の比率により徴収される。

2. 罰則について

上 述の納税基準に基づき、外資企業及び外国籍個人が納税条件を具備している場合には、所定の期限までに都市維持・保護建設税及び教育費付加を全額納付しなけ ればならない。これにしたがわない場合には、『租税徴収管理法』の規定に基づき、強制執行がなされ、未納額または不足額の追徴のほかに、未納額または不足 額の50%以上5倍以下の罰金が科されることもある。その中でも、情状が重く、刑法に抵触する場合には、法により刑罰に処されるという。


四、まとめ

今 回公布された通知により、中国国内の国内資本企業・外資企業に係わる税収制度は統一されることとなった。当該通知は、外資企業及び外国籍個人に一定程度影 響を与えるものの、その影響は著しいというほどではないと思われる。弊所は、関連する法規の最新動向に常に注目し、今後も皆様の参考に提供させていただく 所存である。

本文章の知的財産権は大地法律事務所が所有しています。コピー、使用が必要な場合には、如何なる場合においても弊所へご連絡ください。

作成日:2010年10月25日