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中国発展ハイレベルフォーラムの新動向

「中国発展ハイレベルフォーラム2019年会議」が開催され、3日目までのが行われました。金融業の開放と安定等の議題について、より踏み込んだ検討が行われています。今年の会議に出席している中央政府機関の責任者の発言をご紹介します。

一.財政部:減税政策の確実な実行
財政部の劉昆部長は、実体経済の発展を支持するため、政府収入が少なくなる分、企業収益を増やし、市場活力に運用する方針を堅持する意向とともに、次の施策を発表しました。

1.今年、企業の税と社会保険料の負担を2兆元近く軽減する。
2.4月1日より、増値税の税率を、製造業等の業種で16%から13%に、交通運輸業、建築業等の業種では10%から9%に引き下げる。

二.金融業の対外開放拡大のサイン
中国人民銀行の易綱総裁はフォーラムでの質問に答え、中国での内資・外資の金融機関による競争を認め、それにより金融市場の効率を高める考えを表明しました。
また、以下の5方面でさらなる金融業の拡大を図るとしています。

1.金融サービス、市場開放及び人民元為替レートの形成メカニズム改革の相互連携と協調。
2.「参入前内国民待遇+ネガティブリスト」の管理制度の全面的実施。
3.金融業開放の制度・規則を整備し、制度を伴った体系的な開放を実現する。
4.ビジネス環境の改善。
5.金融監督管理の整備。

中国証券监督管理委員会の方星海副主席からも、中国の証券業ではさらなる開放のための多くの準備を整えており、金融業には開放をさらに加速させるための潜在力がなお多くあるとの見解が示されました。
中国銀行保険監督管理委員会の王兆星副主席は、金融業の拡大開放において、銀行業、保険業に関わる部分について、今後市場参入要件をさらに緩和するとともに、以下の方針があることを示しました。

1.外資金融機関の経営範囲を拡大し、金融商品、金融サービスを増やす。
2.政府機構の簡素化と権限委譲を進め、行政審査認可を縮減し最適化する。
3.監督管理の規則を最適化し、外資系銀行及び保険会社の市場活力を十分に発揮させる。

三.国家発展改革委員会:重点分野での混合所有制改革の試行範囲拡大
国家発展改革委員会の寧吉喆副主任は、競争の中立性原則に基づき、リスト情報の公開メカニズムを改善し続け、「禁止しないものは参入を認める」原則と政策の全面的な実行を進めていくとしています。また、以下の方針があることを示しました。

1.国内市場の育成において、①居住者増収3年行動計画を研究・制定する。②自動車、家電等の人気商品の消費を促進する措置を制定・公布する。③レジャー、健康、スポーツ等のサービス業の発展を加速し、サービス消費の新たな潜在力を発揮させる。
2.外商投資の管理制度をさらに改善し、外資の適法な権益を保護し、より多くの分野で外資による独資経営の実行を許可する。

四.商務部:商品、要素の流動的開放から規則等の制度的開放への転向
商務部銭克明副部長は、中国は全国範囲でネガティブリスト管理モデルを実施するほか、より詳細にわたる関連法規・規則の制定を急ぎ、商品、要素の流動的開放から規則等の制度的開放への転向を進める考えを表明しました。

五.農業農村部:農業支援は緩めない方針
中央農村工作指導小組弁公室の副主任、農業農村部副部長である韓俊氏は、2020年より、貧困脱却事業は新たな局面を迎えるとして、公共貧困脱却の堅塁攻略の成果を上げるため、発展の遅れた地域の経済社会、人民生活の水準改善を引き続き推進するために、政策による支援は緩めない方針を表明しました。

六.生態環境部:産業のグリーン・新発展を推進
生態環境部の趙英民副部長は、以下4つの面に生態環境部が注力する意向を示しました。

1.政府が主導し、企業を主体とする、社会組織と大衆が共同で参画する生態環境の対策システムの形成を進める。
2.グリーン技術のイノベーション、製造業のグリーン技術の研究開発を強化する。
3.環境保護産業の発展を加速させ、グリーン投資を拡大する。
4.公平かつ公正で、グリーン競争が行われる環境法制度の体系を構築する。

作成日:2019年03月28日