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『山東省職業病防止計画(2017~2020年)』の公布

工業、農業がともに発達している山東省では、職業病の危険に触れる人数も膨大であり、職業病が報告される人数も全国でトップクラスとなっています。『国家職業病防止計画(2016~2020年)』の趣旨を確実に実行し、「第13次5カ年計画」期間における職業病防止の取り組みを強化するために、2017年9月15日、山東省人民政府弁公庁は『山東省職業病防止計画(2017~2020年)』(以下「計画」という)を正式に公布しました。この計画について、以下で簡単に説明いたします。

政策のポイント

1.使用者の主体責任を強調

「計画」では、使用者が職業病防止の取り組みの中で主体責任を負うべきであることを特に強調し、使用者が勤務場所の作業環境を有効に改善し、法により秩序をもって職業健康監督保護を実施し、労働者の職業上の健康にかかる権益に確実な保障を提供するよう求めました。

2.重点職業病の防止を強化

「計画」では、使用者がじん肺症、職業性中毒、職業による放射性疾病等の重点職業病に対する防止取り組みを強化するよう求め、予防を主体とし事後の対応とも組み合わせながら、職業病の危険に対する根源からの予防と抑制を強化し、職業病の発生を根本から減少させるとしています。

3.職業病防止制度の整備

「計画」では、労働者と労働契約を締結する前に、職業病の危険について告知する義務を履行し、また労働契約の中で労働保護、労働条件、職業病の危険からの防護に関する内容を明確に記載するよう、使用者に求めています。使用者は、法により労働者の労働災害保険の保険料を納付し、労災保険基金によって職業病患者の治療費負担を軽減しなければならないとされています。

留意点

1.使用者は、職業病の監督保護、防止業務の責任の主体となります。このため使用者は、職業病の危険に触れる作業に従事する労働者に、就業前、就業期間中、職務を離れる前に、定期的に職業病についての健康診断を受けさせ、事実通りの診断結果を速やかに労働者に告知することがお勧めされます。新たに職業病が発生したか、職業病の疑いがある場合には、使用者より速やかに所在地の安全生産監督管理機関へ報告することが大切です。

2.「計画」は、職業病防止について、関係政府機関の使用者に対する監督管理を強化するとしています。職業病の危険に触れる作業が発生する使用者においては、速やかに職業病防止のためのシステムを整備し、職業病の危険に触れる作業にあたる労働者の業務環境を改善し、相応の防護措置を講じて職業病の発生率を引き下げるようにするとよいでしょう。職業病の危険が甚大で、改善しても基準を満たすことができない使用者に対しては、安全生産監督管理機関が「職業病防止ブラックリスト」に登載して定期的に公表するとしており、場合によっては法定のプロセスにより事業の停止や閉鎖が命じられることもあるため、使用者の信用と正常な生産経営に影響が及ぶ可能性が極めて高くなります。

作成日:2017年11月17日