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『最高裁「中華人民共和国会社法」適用に関する若干の問題についての規定(4)』解読

背景

『最高裁「中華人民共和国会社法」適用に関する若干の問題についての規定(4)』(以下「解釈」という。)が2017年9月1日から施行されました。本「解釈」は株主の権利保護及びコーポレートガバナンスをテーマに、会社決議の効力、株主の知る権利、利益の配当権、優先購入権及び株主代表訴訟等のコーポレートガバナンス面での具体的な法律の適用問題について規定を行いました。以下は、当該規定の主な内容について簡潔に解説いたします。

法律のポイント

1.会社決議の効力について

『会社法』第22条では、会社株主会、董事会で決議した内容とプロセスが法律、行政法規に違反及び会社定款の規定に違反したケースに対して、会社株主と関係者による決議無効の確認並びに決議を撤回する法的な権利を与えています。本「解釈」では、確認と撤回の法的な主体には、株主のほか、董事、監事等も含まれることを更に明確化しました。また、無効の確認と決議の撤回という2種類のケースを除き、会社が会議を開催して決議をしていない等、「決議不成立」の具体的な法的ケースを追加しました。

 

2.株主の知る権利の保護と制限について

『会社法』第33条の規定によれば、株主は、会社定款、株主会議事録、董事会決議書、監事会決議書、財務会計報告書を査読、複製する権利を持っています。株主は、会社の会計帳簿の査読を要求することができますが、会社へ請求書を提出し、目的を説明しなければなりません。本「解釈」は、株主の知る権利の実現を保証するため、裁判所に株主の知る権利に関する訴訟の判決において書類査読の時間、場所及び特定書類のディレクトリを要求するものです。また、株主知る権利の乱用が会社の正常な経営に影響を及ぼすことを制限するため、本「解釈」は、「不正な目的」ケースについて具体的な規定を設けました。会社は、合理的な根拠を持って、株主が会計帳簿を査読することに「不正な目的」があり、会社の適法な利益を損ねる可能性があると認識できる場合、査読への提供を拒否することができるとしました。

3.株主の優先購入権の行使

『会社法』第71条では、株主が譲渡に同意した持分については、同等の条件で、その他の株主に優先購入権があると明確に規定されています。但し、実際の取り扱いでは、法律に優先購入権の具体的な行使の方法が明確に規定されていないため、定款にも明確に規定されていない場合、一部の合弁会社の株主が実際に取り扱う際には悩ましいものでした。本「解釈」では、通知の形式、期限及び「同等の条件」に含まれる具体的な要素(数量、価格、支払方法及び期限等の要素)等、有限責任公司の株主優先購入権行使の際の具体的な方法を細分化しました。

留意点

1.本「解釈」では、主にコーポレートガバナンス面の具体的な事項を規定しており、株主の権利行使について取り扱いやすい規定を設けていますが、法律そのものは、比較的に原則的な規定です。会社定款は、法律が会社に与えた具体的な状況に基づく自己管理と制度制定上の有力な内部規則文書です。更に株主の権利の行使を保証するため、本「解釈」の規定を踏まえ、法律の許す枠組みで会社定款の中に株主会及び董事会の召集プロセス、株主の知る権利の行使、持分譲渡優先購入権の行使方法等、具体的で取り扱いやすい規定を設けることを、お勧めいたします。

2.外資系の独資企業において、株主の権利と意思は、通常十分に行使され徹底されます。合弁会社において、株主の権利の有効な行使(特に外国側の株主が小株主か実際の経営管理側ではない場合。)を保証し、会社と株主の利益が損失をこうむることを避けるため、「定款」に関連する株主の権利について具体的な規定が設けられていない場合、外国側の株主は、『会社法』及び本「解釈」の関連規定に基づいて、正当な権益を行使することができます。

作成日:2017年09月25日