法律相談Q&A

年次有給休暇に関する幾つかの問題について

Q1.当社では、例年1月と2月の発注が少ないため、この期間に会社が従業員の年次有給休暇を集中的に手配しても良いでしょうか。それとも従業員自身から同意を取りつけなければ年次有給休暇を手配できないものでしょうか。

A1.『従業員年次有給休暇条例』第5条及び『企業従業員年次有給休暇実施弁法』第9条の規定によれば、雇用者は生産、業務の具体的な状況及び従業員自身の意向を考慮し、従業員の年次有給休暇を統一的に手配することができるとされています。年次有給休暇は1つの年度に集中して手配することもできますし、分けて手配することもできます。従業員自身の意向に対し、生産と業務の許す条件において、雇用者は適切に考慮することができますが、必ずしも従業員本人から同意を取りつけなくても良いものと思います。つまり、貴社は貴社の生産、業務の具体的な状況に基づいて、1月と2月の発注の少ない時期に、従業員の年次有給休暇を集中的に手配することができます。

Q2.当社は「就業規則」において、年次有給休暇は従業員自身が申請する必要があり、従業員が当該年度に年次有給休暇の申請をしない場合、従業員が当該年度の年次有給休暇の申請を放棄したものと見なし、会社は従業員へ年次有給休暇未消化賃金を支給しないと規定しています。このような取り扱いは、合法的でしょうか。

A2.『企業従業員年次有給休暇実施弁法』第10条の規定によれば、雇用者は従業員に年次有給休暇を手配できるが、従業員自身の理由で、なお且つ書面で年次有給休暇を取得しないという旨を提出した場合、雇用者は正常な勤務期間の賃金収入を支給するだけでよいとされています。そのため、会社が従業員に年次有給休暇を手配し、従業員自身がその休暇を取得しない場合、当該従業員が書面で業務に因らない原因により年次有給休暇を取得しないと申請を行わなければ、年次有給休暇未消化賃金を支給する必要があります。しかし、休暇を取得しないことだけをもって、当該従業員が年次有給休暇を取得する権利を放棄したと見なすことはできません。

Q3.当社は、今年生産ノルマの必要性に迫られているため、従業員に年次有給休暇を手配できないのですが、その場合はどうしたら良いでしょうか。

A3.年次有給休暇は、従業員の法定の権利です。貴社が業務上の理由から確かに従業員へ年次有給休暇を手配できない場合、従業員自身から同意を得たうえで、従業員に当該年度の年次有給休暇を手配しないか、年度を跨いで従業員に年次有給休暇を手配することができます。

会社が従業員に年次有給休暇を手配できず、なお且つ年度を跨いでも年次有給休暇を手配できない場合、『企業従業員年次有給休暇実施弁法』の関連規定に基づき、会社は従業員に日あたり賃金收入の300%で年次有給休暇賃金報酬を支給する必要があります。うち、日あたり賃金收入の計算基準は、次の通りとなります。

① 日当たりの賃金收入 = 月賃金 ÷ 21.75

② 月賃金 = 年次有給休暇未消化賃金報酬を支給する前12ヶ月の月平均賃金から時間外勤務賃金を控除した金額。

作成日:2016年04月19日