中国の出入国管理についての新規則と実務対応-【NEW】-
2026年7月31日に国務院が公布した『出入国管理に関する国務院による規定』(国令第841号、以下『規定』という。)が9月15日より正式に施行されます。本『規定』は、中国国民や中国在住の外国籍者、外資系企業、海外在住の華人・外国籍者から広く注目されていますので、今回はその要点を解説します。
1.出入国の事由および申請資料の審査強化
本『規定』は、ビザや滞在・居留許可証の申請資料と申請事由が真実かつ合法でなければならず、ビザ発給機関などによる検証にも協力しなければならないと規定しています。
また、電子データ情報の確認が新たに追加され、関係機関は「携帯電話の検査」による情報確認を行うことができるという点にも留意が必要です。これはアメリカなどへの入国時に税関が携帯電話の中身をチェックするのと同様です。(『規定』第3条)
2.外国人に対する入国禁止措置の厳格化
本『規定』では外国人の入国禁止措置がより厳格化されており、関係当局は従来の『対外国制裁法』などの法律に基づき、報復リスト、信頼できないエンティティリスト、悪意のあるエンティティリストに掲載された企業、あるいは対抗措置や制限措置の対象者に対し、特に期間の制限なく、ビザの発給や入国を拒否することが可能です。
また、入国時に虚偽の情報や資料を提出した場合、もしくは出入国事由に起因して刑事処罰や行政処罰を受けた場合は、1年~5年間入国が制限されます。(『規定』第5条)
3.中国国民への出国規制の強化
本『規定』は、輸出管制や技術の輸出入管理などの規定に違反し、国の産業や経済・技術の安全を脅かす可能性がある国民に対し、出国制限措置を実施するとしています。(『規定』第4条)
今後、ハイテクノロジー、基幹部品、または機微技術に関わる日系企業およびその他外資系企業において、国際間技術交流、設備の試運転、生産ラインの移転に伴いコア技術要員や経営幹部が制限を受ける可能性があるため、国際間のビジネス交流や異動・転勤の際は特にコンプライアンス準拠を心がける必要があります。
また上記に加え、海外での違法・犯罪行為や出入国書類の不正取得などにより行政処分を受けた国民に対する出国制限条項(6ヶ月~3年間)も新たに追加されています。
◆留意事項
この新たな『規定』は9月15日から施行されますが、正常なビジネス、留学、観光などの渡航には何ら影響がないため、コンプライアンスを遵守し出入国する渡航者は過度に心配する必要はありません。但し今後政府当局は、高リスクの国や地域へ渡航・滞在する中国国民に対し、関連リスクを適時に注意喚起するほか、これらの国や地域への渡航を控えるよう勧告する場合があります。
実務上、現地企業が外国人従業員や顧客に招聘状、在職証明書、資金証明書などの書類を発行する際は、実際の旅程や業務目的と一致していることを確認し、出入国管理機関などによる検査に直面した際にそれらの資料が証拠となるよう保管しておくことが大切です。また、コア技術、軍民両用品、基幹データの越境移転に関係する企業は、事前に輸出管制および技術輸出入に関するコンプライアンス評価および審査を受ける必要があります。
作成日:2026年08月14日
