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最新:山東省2025年度最低賃金基準の公布 -NEW-

   賃金は企業と従業員双方が常に注目する話題です。2025年9月25日、山東省人民政府は『全省の最低賃金基準調整に関する通知』(以下、『通知』という。)を公布し、山東省内の各市、県(区)の企業従業員の最低賃金基準を調整することを発表しました。最新の基準は2025年10月1日より正式に施行されます。今回は当該『通知』について簡単にご紹介します。

1.最新の最低賃金基準
   山東省では労働時間制度に応じて新たな最低賃金基準が適用されます。(『通知』第1条、第2条)
(1)全日制労働者:最低月給賃金基準を2,400元、2,210元、2,020元の3段階に区分。
(2)非全日制労働者:最低時給賃金基準を24元、22元、20元の3区分。
   山東省内の各県(市、区)の経済発展状況に応じて最低賃金基準が異なる可能性がありますので、詳細は『通知』に付属する最低賃金基準表を参照する必要があります。
   例えば、青島市の最低賃金基準は2区分に分けられ、市南区、市北区、黄島区、崂山区、李滄区、城陽区、即墨区の最低月給賃金基準は2,400元、最低時給賃金基準は24元ですが、膠州市、平度市、莱西市の最低月給賃金基準は2,210元、最低時給賃金基準は22元となっています。

2.最低賃金基準の適用における留意点
   これまでに青島市、煙台市が発表した地区規定に基づくと、以下の費用を差し引いた後の賃金が最低賃金基準を下回っている場合、賃金の再支給若しくは賠償金支払いというリスクに直面する可能性があります。
①夜勤、高温、坑内、有毒有害など特殊な作業環境、条件の下での手当。
②労働者が得るべき時間外労働の追加賃金。
③社会保険料、住宅積立金のうち企業負担部分。
④企業が規定に従って支払う葬儀弔慰救済金、親族訪問旅費、冬季暖房手当、防暑冷房費などの福利厚生待遇。
   上記は最低賃金構成部分に該当せず、企業が別途支払う必要がある項目であるという点に留意しなければなりません。
   言い換えれば、労働者が法定労働時間内に正常に労働を提供した場合、その賃金は現地の最低賃金基準を下回ってはなりませんが、病気休暇や私用休暇、無断欠勤などの状況下においては、賃金が最低賃金基準を下回る場合があることを意味します。

◆日系企業へのアドバイス
   実務においては、最低賃金基準の金額に「五保険一積立金」を含むかどうかなど、地域によって規定が異なる可能性があることから、リスクを回避するためには、企業所在地における最低賃金基準の最新規定に注目しつつ、コンプライアンスに沿って賃金調整を進めることが重要です。
   また、賃金の引き上げ・引き下げの実施には従業員や労働組合との協議などのプロセスの履行が求められる場合もあるため、一定の実務スキルが必要です。事前に実務経験のある現地弁護士とコミュニケーションを取ることで、支払い実体や手続きにおけるコンプライアンス違反による労働争議リスクを防ぐことが出来るでしょう。

作成日:2025年09月30日