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新情報:「ネット身分証」を使ってインターネットの利用が可能に -NEW-

   インターネットを利用する際に実名認証が必要となる場合がありますが、実名認証には個人情報漏洩の懸念があります。例えば、ネットワークプラットフォームに個人情報を登録した直後に、迷惑電話やスパムメールが届く等といった事例が発生しています。
   このようなオンラインでの実名認証問題に対処するため、公安部や国家インターネット情報弁公室など6部門は、2025年5月23日に共同で『国家ネットワーク身分認証公共サービス管理弁法』(以下『弁法』という。)を公布しました。同『弁法』は2025年7月15日より施行されます。当該『弁法』は自然人である個人及びネットワークサービスプラットフォーム等に対し大きな影響を及ぼすため、以下に簡潔に解説いたします。

1.「ネット身分証」の申し込みは任意に選択可能
   当該『弁法』では、自然人である個人は任意で国家ネットワーク身分認証公共サービス(以下「公共サービス」という。)プラットフォームに対し、ネットワークID(英数字で構成され、個人の身分情報に対応するが明文情報は含まないネットワーク身分ID)およびネットワーク証(ネットワークIDに基づく暗号化認証情報で、非明文による身分検証に使用)の申し込みが可能であると規定されています。これらは実名登録を必要とするネットワークサービス(SNS、決済、チケット購入など)において、従来の明文による身分認証の代わりとして使用できます(『弁法』第二条、第四条)。
   また、この「ネット身分証」の申し込みは任意であり、政府およびインターネットプラットフォームがユーザーに対し使用を強制するわけではないという点は注目に値します。

2.すべてのプラットフォームで「ネット身分証」が使用できるわけではない
   現段階で、政府は関連主管部門や重点業界、インターネットプラットフォームに対し、任意の原則に基づきネットワークIDやネットワーク証の普及と、公共サービスプラットフォームへのアクセスを奨励しています。これは、すべての主管部門やインターネットプラットフォームで「ネット身分証」による実名認証や身分登録ができるわけではないことを意味しています(『弁法』第六条、第七条)。
   また、関連主管部門や重点業界、インターネットプラットフォームが管理やサービスを提供するうえで「ネット身分証」を採用する場合でも、既存の認証方法やその他合法的な認証方法を維持し、ユーザーに提供する必要があります。

◆留意事項
   個人情報を保護し、「個人情報保護法」を徹底するため、当該『弁法』ではネットワークIDやネットワーク証などの「ネット身分証」制度を導入することで、政府部門やネットワークプラットフォームによる自然人の本人確認と個人のプライバシーの保護を両立させています。また、個人の身分情報の漏洩リスクを軽減するとともに、ネットワークプラットフォームにおけるユーザーの個人情報のセキュリティとコンプライアンスリスクも一定程度軽減することで、データ保存の負担とコストを削減することができます。当該『弁法』は中国国民だけでなく、外国人のプライバシーも保護するものですが、現段階では明確になっていない点もあるため、今後の動向に引き続き注目する必要があります。

作成日:2025年05月27日