最新:『「反外国制裁法」の実施に関する規定』の施行
『「中華人民共和国反外国制裁法」の実施に関する規定』(以下『規定』という。)が2025年3月24日に正式に公布され、即日施行されました。今回は、本規定制定の背景や主要な内容などについて、以下の通り簡潔に説明いたします。
1.『反外国制裁法』の細分化
2021年6月10日に施行された『反外国制裁法』は、中国における外国による「一方的制裁」および「ロングアーム管轄」行為に対抗する初の専門的な法律です。その後、長年にわたる外国からの制裁や反制裁の経験を基に当該『規定』が策定され、『反外国制裁法』の関連規定が細分化されました。
2.反制裁措置の明確化、実施手段および救済措置の整備
当該『規定』では、『反外国制裁法』に基づく以下のような複数の反制裁措置が明記されています。
1)関連部門が差し押さえ、押収、凍結可能な「その他の財産」の詳細内容を明確化。(『規定』第7条2項)
2)禁止または制限される「関連取引および協力」の詳細内容を明確化。(『規定』第8条)
3)関連部門が実施可能な「その他の必要措置」の詳細を明示。(『規定』第9条)
反制裁措置の実施手段を整備し強化する一方で、当該『規定』には相応の救済措置も追加されています。例えば、法に基づく反制裁措置を実行しない個人および組織に対して科される罰則行為(政府調達や入札活動への参加の禁止や制限、海外からのデータや個人情報の受取りまたは提供の禁止や制限など)が詳細に列挙されています。一方で、反制裁措置を受けた個人および組織には救済措置が用意されており、関連する反制裁措置の一時停止、変更または取消しを申請することができます。
3.日系企業の留意事項
「反外国制裁」は、2021年には中国の法律面において既に確立された概念ですが、今回の『規定』では以前の曖昧で原則的な内容が明確化されています。この点から見ると、当該『規定』はより透明性が高まり、企業にも理解しやすくなっています。これは当該『規定』のポジティブな一面と言えるでしょう。
一方で、『規定』は『反外国制裁法』の延長線上にあり、その重点は依然として「反」の部分、すなわち外国の「一方的制裁」行為に対する自己防衛にあります。制裁と反制裁は通常、国同士の対立によるものであり、一企業が介入できる余地は少ないですが、リスクを極力減らす努力をすることが求められます。そのため、関連する制裁および最新の反制裁リストを速やかに把握することが非常に重要です。また、在中日系企業は中国の反制裁に関する法律法規を優先し、反制裁措置に協力しなかったことを理由に不要な処罰を受けることがないよう注意が必要です。
作成日:2025年04月03日