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董事(取締役)の清算義務の強化

   近年、感染症、社会全体の経済情勢、投資環境などの影響により、一部の外資系企業は中国から撤退し、国内の多くの企業も閉鎖・倒産しました。外資系企業は通常、解散清算、持分譲渡、持分買取などの方法により中国市場から撤退します。
   今回2024年7月1日に施行される新会社法では、会社の解散清算のルールが多数改正されました。その中で、会社の清算義務者と責任に関する規定が広く注目されています。今回、新「会社法」の規定に基づき、会社が清算義務者を選定する規則を簡単にご紹介し、各日系企業のご参考に供します。

1.董事(取締役)の清算義務の強化
   清算義務者とは、会社の解散事由が発生した後、速やかに清算委員会を設立し、清算手続きを開始する義務を負う者を言います。新「会社法」の施行以前、有限責任会社の清算義務は株主及び実質的支配者にあり、株式会社の清算義務は会社の董事、持株株主、実質的支配者にありましたが、今回、新「会社法」はこれに対して重大な改正を行い、董事を清算義務者と規定し、董事の清算義務をより重いものとしました。(新「会社法」第232条第1項)
   実務上、会社に解散事由(解散決議、営業期間満了、営業許可証取消等)が発生した場合、会社の董事が所定の期限(解散事由が発生した日から15日以内)内に清算委員会を組織せず、会社と債権者に損失を与えた場合、会社または債権者は董事に損失賠償責任を負わせることができます。(新「会社法」第232条第3項)

2.清算委員会のメンバーは別途選定が可能に
   清算委員会は一般に解散会社を引き継ぎ、解散会社の財産の保管、整理、評価、処理、分配などの実際の事務処理を担当するメンバーまたは専門機関を指します。
   これまで、有限責任会社の清算委員会は株主により構成され、株式会社の清算委員会は董事または株主総会で決定されたメンバーにより構成されていました。新「会社法」では会社の形態を区別せず、清算委員会のメンバーを董事に限定し、このことは組織や清算義務の履行における実務上の要請に合致しています。(新「会社法」第232条第2項)
   ただし、新会社法では、清算委員会のメンバーは会社定款または決議の形式で自主的に決定することができ、企業の意思による自治を認める規定とされていることにも注意しなければなりません。(新「会社法」第232条第2項)

◆日系企業へのアドバイス
   新「会社法」による清算義務者及び清算委員会のメンバーについての改正は、実務上、董事の義務を重くしたものです。これは中国の現行の法律法規により会社の董事または董事会のメンバー及び会社自身に対して、より高いコンプライアンスとガバナンスが求められることを意味しています。
   そのため、各日系企業は実務経験のある現地弁護士と適時コミュニケーションをとり、清算ルールの最新の改正を正しく理解し、撤退の際には最適な撤退プラン(解散清算、持分譲渡、持分買取、減資、司法清算など)を選択し、株主及び実質的支配者、董事の責任とリスクを最小化する必要があり、日本本社及び現地日系企業が対応を検討しなければならない重要な課題の一つになる可能性がある。

作成日:2024年04月18日