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中国薬品経営監督管理の新規則発布

   2023年10月13日、国家市場監督管理総局は、『薬品経営・使用の品質監督管理弁法』(以下『弁法』と略称。)を発布し、2024年1月1日から施行します。この『弁法』の発効後は、『薬品経営許可証管理弁法』と『薬品流通監督管理弁法』は廃止されます。
   この『弁法』によって、『薬品管理法』上の薬品経営許可、薬品経営制限などに関わる詳細な規定が設けられました。今回は、日系医薬業界企業の皆様にご参考いただけるポイントを以下にご紹介いたします。

1.薬品企業のタイプにより許可取得条件が異なる
   当『弁法』では、薬品経営活動に従事するために備えなければならない条件として、専門薬剤師従業員の基準人数など共通のハードルがあることに加え、薬品卸売と小売の異なる経営方式に基づき、各タイプの薬品企業が対応するライセンスを取得するための具体的な条件が詳細に規定されています(『弁法』第8条から第11条)。
   なお、『弁法』上で各タイプの薬品企業の許可条件の詳細な規定があるとはいえ、許可・認可を担当する部門は必ずしも同一ではないため、各地の具体的な規定にも注意する必要があります。

2.経営取扱い薬品種類の制限
   薬品企業の経営タイプによって経営上取扱ってはならない薬品が異なっています。例えば、薬品経営企業は以下の薬品を取扱ってはなりません。
① ワクチン
② 医療機関処方製剤
③ 漢方薬調合顆粒などの国が薬品経営企業の取扱いを禁止している薬品
   また、薬品小売企業は麻酔薬、第1類精神薬など7種類の薬品を販売してはならないとしています(『弁法』第36条)。
   注意すべきなのは、上記種類の企業経営範囲については自己裁量で定めるものではなく、また経営範囲の認可についても中国のその他の関連法規に従って行わなければならないという点です。加えて、薬品小売チェーン企業の各店舗の経営範囲は、企業本部の経営範囲を超えてはならないことになっています。

◆日本企業および駐在員の皆様へのアドバイス
   この『弁法』では、医薬品上市許可所有者、薬品卸売企業、小売企業、薬品貯蔵、輸送企業、および医療機関が薬品品質の厳格な確保、また追跡情報の提供、及び薬品のトレーサビリティを保証するよう要求しています。そのため、関連する企業主体においては、コンプライアンス整備を速やかに行う必要があるといえます。なお、中国の薬事規制においては、依然として国務院の今後の行政法規や地方の薬事監督部門の規定、具体的実施面で細分化が待たれる重要な課題が多く残されています。
   日系薬品業界の既存の定款規定についても、新たな法規変更に応じての調整が必要となる可能性があることを考え、関連日本企業は、それぞれの状況に応じて現地弁護士とコミュニケーションを取りつつコンプライアンス対策を協議し、企業経営管理制度の適時調整を行い、コンプライアンスに沿った生産経営を確保することにより、行政からの処罰や指摘を防ぐことができるでしょう。

作成日:2023年11月23日