コロナ及びその他のホットな話題

朗報:公文書の国境を越えた転送は領事認証が不必要に

   3月8日、中国は正式に「外国公文書の認証を不要とする条約」(以下「条約」と略称する)の保管機関であるオランダ外務省に加入書を提出しました。これは中国が正式に「条約」に加入したことを示しています。2023年11月7日以降、「公約」は中国で発効し、文書の国籍を越えた転送の時間的・経済的コストを大幅に削減するものです。
   『条約』の中国での効力発生後、企業や個人が外国で発行され、中国で使用される文書資料を提供するプロセスにはどのような変化があるのでしょうか。弊所は今回、以下のように概要を説明し、各日系企業や駐在員様のご参考にしていただければと思います。

◆新しい変化
1.領事認証手続きはハーグ条約に基づく認証手続きに取って代わられる
   これまで、海外で発行され中国本土に転送する予定の文書については、一般的に現地で公証や認証手続きを行った後、さらに中国の在外公館で領事認証を行う必要がありました。
   「公約」第2条の規定によると、「公約」の対中発効後、日本国内で発行された中国で使用される文書資料については、中国の駐日本大使館の領事認証を経る必要はなく、領事認証手続きに代わって手続きがより簡便なハーグ認証に基づく認証手続きが必要となります。
   *ハーグ条約に基づく認証とは、文書の署名、文書署名者の身分、印章の真実性と信頼性を証明するため、文書発行国の主管機関(日本では一般的に外務省または公証役場)が被証明書類に「付箋」(アポスティーユ)を添付することを指します。

2.注意点
   今回、中国は「条約」に加盟し、国境を越える文書の領事認証手続きを取り消しましたが、これは今後公証認証を行う必要がなくなるという意味ではありません。
   日本国内で発行された文書については、日本の現地公証役場や外務省に赴いて公証や認証を行い、同時にハーグ条約に基づく認証を行ってから中国国内で使用する必要があります。

◆日系企業及び駐在員へのアドバイス
   「公約」はまだ中国に対し発効していないため、各政府部門は国境を越えた文書に対する転送手続きについて未だ新たな実施細則を打ち出しておらず、施行時に「公約」の要求と相違がある可能性があります。そのため、企業や駐在員は政府部門の動態にタイムリーに注目し、手続き前に中国の現地弁護士によって現地政府部門と交渉して確認し、政府部門の「公約」施行後の解釈と実務上の要求を正確に把握することで、準備ミスや不必要な時間的・経済的コストを防ぐことができます。

作成日:2023年03月17日