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「権限移譲」― 一部の企業結合案件の審査を地方市場監督管理局に委託

   7月15日、市場監督管理総局(以下「SAMR」と略す)は、「企業結合案件の独占禁止審査にかかる一部委託パイロット事業に関する公告」(以下「23号公告」と略す)を公布し、2022年8月1日~2025年7月31日に、企業結合簡易審査に適用する一部の案件の独占禁止審査を北京市、上海市、広東省、重慶市、陝西省等5つの省(直轄市)級市場監督管理局に委託することにしました。すなわち、SAMRが前期審査権限の一部を地方に移譲するということです。

◆ 権限移譲の背景とポイント
   これまでの企業結合案件は、すべてSAMRが審査を行っていた上に案件が増加傾向にあるため、審査時間の長期化等が問題になっていました。審査の効率化を図るために、パイロット事業の期間中においては、パイロット地域の市場監督管理局がSAMRの要求に従って書類審査と立案審査を行った後、SAMRが最終的な決定を出すことになります。

◆ 23号公告に関する留意すべきポイント
1.SAMRが設定した実施期間
   実施期間は2022年8月1日~2025年7月31日です。
2.SAMRが委託する5つのパイロット地域の管轄範囲は次の通りです
   北京市の管轄地域は、北京、天津、河北、山西、内モンゴル、遼寧、吉林、黒龍江です。
   上海市の管轄地域は、上海、江蘇、浙江、安徽、福建、江西、山東です。
   広東省の管轄地域は、広東、広西、海南です。
   重慶市の管轄地域は、河南、湖北、湖南、重慶、四川、貴州、雲南、チベットです。
   陝西省の管轄地域は、陝西、甘粛、青海、寧夏、新疆です。
3.23号公告は、管轄地域が企業結合案件の種類で区分することを強調しました
   管轄地域は大まかに以下の4種類の案件で区分します。一般案件は、申告者が所属している地域が管轄します。また、企業が他社の支配権を取得した案件は、当該他社が所属している地域が管轄します。合弁会社を新設した案件は、当該合弁企業が所属している地域が管轄し地域市場がある案件は、当該地域市場の全部又は大部分が所属している地域が管轄します。

◆ 日系企業へのアドバイス
   通常3ヶ月以内に審査が終了する簡易審査案件は、地方に審査を委託することができますが、海外M&Aまたは重要業種に関わる規模や影響が大きく、通常6ヶ月程度の審査期間を必要とする通常審査案件は、従来通りSAMRが審査することになります。権限移譲後、各地方監督管理局の独占禁止法に対する理解と運用が完全に一致するとは限らないため、異なる審査意見が出される可能性もあります。そのため、案件が権限移譲の対象であるかどうかを確認するとともに、所属する地域の市場監督管理局と積極な意思疎通を行い、寄せられた質問への回答や書類補充要求等に迅速に対応することが重要となるでしょう。

作成日:2022年08月10日