最新法律動向

広告掲載などにおける地図表示の指摘

   最近、ある日系小売企業がホームページに掲載した中国の地図中での台湾の表示について中国当局から指摘を受け、15万元の罰金を科されました。

   中国政府による地図管理の強化は最近に始まったものではありません。2018年4月、中国民用航空局はアメリカ、イギリス、日本等国外の航空会社44社に文書を送付し、30日以内に各自のウェブサイトにおいて台湾、香港、マカオの呼称を修正し、それらを独立国家として表示しないよう要求したことを受け、44社全てが修正を実施した経緯があります。当時、中国地図の不適切な使用があったとされた国外企業の中には、ドイツの自動車メーカー、フランスのブランドメーカー等も含まれていました。また、「地図問題」の対象は外国企業に限らず、2020年10月、国内乳業大手の光明乳業にも、オンライン動画広告中の中国地図の表示が適切でなかったとして30万元の罰金が科されました。

   中国地図に関する指摘を受けた場合の法的責任は罰金にとどまらず、現地企業の日常経営に影響が及ぶ可能性もあります。以下では、中国地図に関する指摘を受けた場合のリスクについてポイントをご説明します。

(1)罰金に加え、営業許可証の取上げ、場合によっては刑事責任の追及も
●『広告法』第9条、第57条の規定に基づき、地図の問題は国家主権に関わり、広告中に中国地図を誤って使用した場合、国の尊厳又は利益の損害を認定され、20万元以上100万元以下の罰金又は営業許可証の取上げに処される。
●『地図管理条例』第55条の規定に基づき、誤って台湾を国家として表示した場合、国の関連規定により地図上に表示してはならない内容をインターネット上で掲載したものとして警告を受け、10万元以下の罰金に処される。犯罪を構成するものは、法により刑事責任を追及される。

(2)世論を煽り、現地企業にリスクを及ぼす
   中国国内企業に比べ、外資企業では中国地図の誤った使用から世論を煽り、現地企業へのリスクを増大させるおそれがより大きいといえます。現地企業に悪意がなかったとしても、影響力の大きいソーシャルメディアで取り上げられ、「国家主権を侵害し、民族感情を傷付けた」等のように強い攻撃を受けると、現地企業が長年苦労して築いたブランドイメージが一瞬にして崩れ、高額の営業損失をもたらすため、こうした事態を避けることが大切です。

◇日系企業へのアドバイス
   企業で製品のパッケージや広告宣伝、イベント資料、ホームページ上などで中国地図を使用する際、当局から指摘を受ける恐れがあるかどうか判断がつきにくいときは、正規ウェブサイトから中国地図をダウンロードして使用することをお勧めします。例えば中国自然資源部が開発した「標準地図サービスシステム」(http://bzdt.ch.mnr.gov.cn/)等がありますが、標準地図をそのまま使用する場合は「地図審査番号」の表示に留意する必要があります。

作成日:2022年01月27日