会社の抹消・休眠・不動産処理

会社の簡易抹消手続き時の留意点

   近年、政府により行政手続きが簡素化され、企業の登記や抹消がより簡単で迅速に行えるようになっています。企業の登記抹消においてオンラインのワンストップ手続きが実現すれば、窓口に出向く必要はなくなります。しばらく前に山東省人民政府より『ビジネス環境の改善の深化持続に関する実施意見』(魯政字〔2020〕67号)が公布され、2020年6月末までに青島、済南、日照の3市において簡易抹消の試験運用が開始され、(1)「経営開始前の企業」(2)「債権・債務が発生していない企業」(3)「債権・債務の精算が完了している企業」に該当するものについて、簡易抹消の公告期間が45日から20日に短縮されました。
   新型コロナウイルスの影響を受け、会社の登記抹消を選択する外資系企業は少なくありません。企業が自身の生産経営状況及び発展戦略に基づき、清算、登記抹消を決定する際、それほど多くの債権・債務が存在しないようであれば、簡易抹消の方式を選択することができ、これにより時間や金銭コスト、労力や物的資源を節約することもできます。
   ただし留意点として、中国の法律・法規により、会社が登記抹消する前か抹消中において、一定の手続きを履行する必要があり、政府機関の記録保管用に一定の書類を提出する必要があります。実務においても以前、ある企業が登記抹消の前に債権者に債権申告を通知していなかったために、債権者の債権が弁済されなかったという事例がありました。このケースでは債権者が提訴し、裁判所により会社の株主に賠償責任を負わせる判決が下されました。
   このため、日系企業が中国で清算、登記抹消等の手続きを行うにあたっては、『会社法』等の関連法規に照らして一定の手続きを履行し、相応の書類を提出しておかないと、日本の本社、清算組メンバーに相応の民事、行政責任を負担させることになりかねず、深刻な場合は刑事責任に及ぶこともあります。
   会社の清算・登記抹消の手続きは極めて複雑であり、工商、労働、税務、銀行、外貨等の面に関わるため、専門の経験ある弁護士のサポートを得る必要があります。弊所ではこれらの業務について豊富な経験があり、各種のサポートやアドバイスをご提供し、政府機関との協議、交渉にも対応しております。必要のある方は、ご遠慮なくご連絡ください。

作成日:2020年10月15日