最新法律動向

独占防止コンプライアンス指針

   今年9月18日に国家市場監督管理総局独占禁止局より公布された『経営者独占防止コンプライアンス指針』(以下「本指針」という)が、同日より施行されています。
   本指針は全6章、30条からなり、企業で独占防止のコンプライアンス体系を構築し、リスクの予防と対処への枠組みとなる指針が提供されました。本指針のポイントと留意点を以下にまとめたものをご紹介いたしますので、ご参考ください。
(1)企業による独占防止コンプライアンス体系構築の奨励。
   企業は自身の業務状況、規模の大きさ、業種の特性等を踏まえて独占禁止コンプライアンス制度を確立し、コンプライアンス責任を、職責や従業員の業績考課の体系に組み入れるべきとする等。
(2)注意すべきコンプライアンスリスクのポイントの指摘。
   企業では特に独占合意、市場の支配的地位の濫用、経営者集中の実施等の行為に注意すべきである等。
(3)リスクの識別、評価、対処についての指導。
   企業で内部通報や賞罰制度の確立、従業員向けのコンプライアンス研修、情報化要求とコンプライアンスに適合した従業員チームの育成強化等により、企業の適法な経営を保障し、独占リスクを減らす等。

日系企業の留意点:
(1)本指針はあくまで枠組みとしての指導性文書であり、強制性を持つものではありませんが、日系企業はこれを参考にして経営に活用することができます。社内で具体的に独占防止コンプライアンスの体系を構築し、問題を処理するにあたっては、企業の実情を踏まえ、弁護士の指導とサポートを受けて行われることをお勧めします。
(2)中国では、独占リスクは大型企業のみの問題ではなく、中小企業であっても取引の中で独占が起きることがまれではなく、日系企業でもこの点に注意が必要です。例えば、製造メーカーにおいて、取引相手より第三者に再販売される商品の価格を固定したり、最低価格を指定したりすれば、独占禁止法規への違反となり処罰を受けるリスクがあるため、そのような行為をしないよう注意する必要があります。

作成日:2020年10月14日