最新法律動向

独禁法執行権の委譲、処分決定が企業のビッグデータに記録されるように

【概要】
国家市場監督管理総局が最近公布した『独占禁止法執行の権限委譲に関する通知』により、独禁法にかかる業務を執行する権限が地方に委譲されることとなった。外国投資者にとり、各地方の独禁法執行の動きはこれまで以上に注目されるものになる。

190107  独禁法執行権の委譲、処分決定が企業のビッグデータに記録されるように

1.国務院機構改革の影響を受け、独禁法行政の三権分立時代が終わり、国家市場監督管理総局が統括的に法執行を行うようになりました。今回、『独占禁止法執行の権限委譲に関する通知』(以下『通知』という)では省級の市場監督管理機関に独禁法の執行権限が委譲されたと同時に、独禁法案件の管轄権限について詳細規定が設けられ、一部の法執行権限が地方に委譲されました。外資系企業が中国で経営活動を行うにあたっては、各地方による独禁法執行の動きに留意することが必要となります。

2.『通知』では、法執行の強度や基準を統一するとともに、案件に関する情報公開を強化し、法執行の透明性を高めるという点が強調され、独禁法案件の処理結果を全国企業信用情報ビッグデータプラットフォームに収めるとしており、独禁法案件の処分の決定は5日以内に国家企業信用情報公示システムを通じて社会に公開されることになります。外国投資者は法令・規則に適合して競争を行う意識を高め、信用評価への影響を回避することが必要となります。

3.『通知』では独禁法執行を厳格化し、市場における支配的地位の濫用や競争優位性のある企業に対する監督管理制限を強化するとしており、独占禁止対象の市場資源のさらなる活性化を図り、外国投資者にとってより公平な競争と投資を行いやすい環境作りが目指されています。

作成日:2019年01月07日