最新法律動向

国務院機構改革が日系企業にもたらしうる影響について

今年3月17日、『国務院機構改革案』が第13期全人代第1回会議で可決され、改革開放40年来8回目となる政府機構改革の幕開けを印象付けました。今回の改革で、多くの機関を統廃合し、それぞれの機関が担う機能についても新たな線引きが行われたことで、今後の日系企業の中国における生産や経営活動に影響が及ぶ可能性があります。注目される機構改革の状況について、簡単に説明いたします。

◇生態環境部の新設

これまで中国では、環境に関する監督管理の権限が複数の機関により分掌されており、監督管理の空白や、権限領域の重複等が生じていました。今回の改革では、新たに生態環境部が設けられ、元の環境保護部、国家発展改革委員会、国土資源部、水利部、農業部等の環境保護に関する機能を統合し、生態環境部によりこれらの環境監督管理権限が統一的に行使されることとなります。このような体制とすることで、環境保護分野における管理権限の問題が有効に解決でき、監督管理が強化されるとみられています。

◇ 国家市場監督管理局の職権の拡大

国家市場監督管理局では、工商、品質検査、食品、薬品、物価、商標、特許、独占禁止等の複数の機関の機能を統合し、市場の総合監督管理とその法執行業務を担当することになります。一方、薬品監督管理はその専門性の高さのために、単独で国家薬品監督管理局を創設し、薬品に対する専門的な監督管理を行います。

◇省レベル以下の国税と地方税の機能を統合

省レベル以下の国税と地方税の機能が統合されると、日系企業は一箇所の窓口で全ての税務関連の手続きをまとめて済ませることができるようになります。これにより国税機関、地方税機関の両方に出向く必要がなくなり、税務手続きがより簡便となり、企業の事務コストも下がることが期待されます。一方で、国税、地方税の関連情報が共有され、以前は国税と地方税で別々に管理されていた企業の納税状況に対する監督管理がより強化されるという影響も考えられます。

◇日系企業の留意点

今回の国務院機構改革により、環境保護、市場監督管理、税務等の機関が統合されることで、それらの監督管理の効果や効率も向上することが期待されます。企業では、自らが所属する分野だけに限らず、より広い範囲について全面的なコンプライアンスチェックを行い、規則違反行為があれば、適時改善されることをお勧めいたします。

国務院機構改革が進められる中で、従前の政策規定との矛盾が生じ、法律の適用や政府機関による法執行において不明確な部分が出てくる可能性があります。機構改革に関する動向に今後も注目し、関係政府機関とより多く、深く交流することで最新の政策について学び、改革が企業にもたらす可能性のあるリスクを可能な限り抑えることができれば望ましいと思います。

作成日:2018年04月17日