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2026年度『税徴収管理法』改正草案による重大変更点 -NEW-

   2026年8月31日に国務院常務会議で審議された『中華人民共和国税徴収管理法(改正草案)』(以下、『草案』という。)が暫定可決し、全国人民代表大会常務委員会へ付託されました。本『草案』は、2001年に『税徴収管理法』が全面改正されて以来、初めての大きな見直し(2013年、2015年の微修正を除く)で、企業と個人への影響も大きいことから、今回はその要点の一部を解説します。なお、本『草案』はまだ最終審議で正式に可決されておらず、条文も未公開のため、2025年3月の『意見募集稿』を参考としています。

1. 関連取引の監督管理強化による租税回避防止条項の追加
(1)関連当事者の範囲拡大による監督管理強化
   これまで税務当局は主に企業間の関連取引を監督管理してきましたが、『草案』では、企業・個人間および個人同士の取引も監督管理範囲に組み入れ、関連当事者間取引に対する監督管理を全面的に強化しています。そのため今後は個人による関連取引であっても独立企業間原則(アームズレングスルール)の遵守が求められます。(『意見募集稿』第40条)
(2)税務当局による納税調整条項の追加
   『草案』には租税回避防止条項が追加されており、納税者に「合理的な商業目的を持たない」取引などによる税収減少や事前還付があった場合、税務当局が納税調整権限を有するとしています。これは税務当局に極めて大きな調整権と主導権が与えられることを意味します。(『意見募集稿』第40条)

2. 行政不服審査前の「納税完了」要件の廃止
   行政不服審査前の「納税完了」要件が廃止され、納税者と税務当局間に紛争が生じた場合、事前納税や担保を提供せずに直接行政不服審査を申立てることが可能となりました。ただし、行政訴訟には、依然として事前に納税完了するか担保の提供が必要です。(『意見募集稿』第101条)

3. 個人に対する監督管理の強化
(1)個人が負う税務責任
   『草案』では対個人の監督管理が強化され、出資者が法人の独立性または株主の有限責任を悪用して出資を引き揚げたり、会社を解散させたりした結果、税務当局が企業に対して税金の追徴ができない、あるいは税収が減少した場合、たとえ会社が抹消済みであっても、税務当局は出資者個人に対して税金の追徴を行うことができるとしています。(『意見募集稿』第56条)
   ただし個人への追徴課税には、企業資産と個人資産の混同が存在するという前提条件があり、正常かつ合法な経営を行う企業に税金納付の資金がない場合については、税務当局が出資者個人に追徴課税することはできません。
(2)個人への制限が拡大
   『草案』では、企業や個人に税金・延滞金の滞納、または重大な税法違反の疑いがある場合、その企業・個人の納税者、法定代表者、実質的支配者、主要責任者は、出国前に税金や延滞金を完済するか担保を提供する必要があり、要求を満たせない場合は税務当局の主導で出国制限を課すとしています。(『意見募集稿』第51条、第68条)

◆企業および個人へのアドバイス
   『草案』には上記に加え、全国統一の処罰裁量基準の策定や、定額徴収の条件、プロセスの規範化など税務執行基準の統一も含まれています。これは地域間の税執行格差および税の不均衡の解消に繋がり、コンプライアンス遵守経営に努める外資企業にとっては逆に競争力を高める効果があります。
   個人に対するこうした監督管理強化から、税務監督が法人課税時代から個人課税時代へと徐々にシフトする将来が見えてきます。税務当局がビッグデータを使って詳細にリスクを識別していることを踏まえ、企業・個人が定期的に直近3~5年の納税状況をチェックし、税務当局と積極的に交渉することは、処罰リスクの軽減・回避に役立つでしょう。

作成日:2026年09月11日