企業における労務処理

速報:信託に関する新規則に伴うコンプライアンスリスク対策-【NEW】-

 近年、クロスボーダー投資や国際的な往来の増加に伴い、多くの中国国内居住者や駐在員、在日華人、企業による海外法人やオフショア金融、信託基金などを通じた資産配分や経営構築が盛んになっています。
 そうした中で、財政部および国家税務総局が2026年7月24日に公布し同日より施行を開始した『オフショア信託の個人所得税に関する事項についての公告』(第21号公告)が、富裕層の間で大きな注目を集めています。

1. 企業および個人の資産に対する「透過」な監督・課税の強化
 これまで多くの人が、資金や資産をオフショア信託やオフショア会社に預けておけば、中国国内で分配しない限り課税されないと考えていましたが、今やこうした手法は通用しなくなりました。
 現在、監督当局は多角的データの相互照合システムを構築しており、CRS(共通報告基準)による税務情報交換メカニズムだけに依存せず、ビッグデータやAIを活用し、マネーロンダリング対策として、資金の流れやクロスボーダー貿易の届出記録、海外投資の登録といったデータを相互に照合しています。監督当局は口座や会社の形態だけでなく、その背後の実質的支配者、経済的実体、および商業目的にも着目します。

2. 外国籍の利用による租税回避はできない
 日本に住む華人の多くは、日本国籍または永住権を取得していることにより中国での納税は不要と考えています。しかし今回、租税回避を防止する新ルールが複数設けられ、海外移住している場合も、依然として主な経済利益が中国国内に由来している場合は中国の納税者とみなされ、どの国における所得(オフショア信託の収益を含む)に対しても中国で課税される可能性があります。
 また、信託財産が直接あるいは本人が支配する会社を通じて中国国内の親族への融資、担保、資産の無償使用などとして提供された場合、これらは収益分配とみなされ課税の対象となります。

◆企業および個人へのアドバイス
 今回の信託に関わる新規則には90日間(2026年7月24日から起算)の自主申告期間が設けられており、期間内に所得税を追納すれば延滞金は免除されますが、期限を過ぎても申告しなかった場合は延滞金が課されます。そのため、事前に海外資産の構造を確認し、クロスボーダー面のコンプライアンス管理を強化することは、在日華人や中国現地の企業などにとって今後の重要課題となるでしょう。

作成日:2026年08月07日